2017年 04月 08日
精神 栄養療法とは
精神栄養学とは―脳を取り巻く食生活を中心とした栄養環境に関する学問―です。 精神栄養学の発展により、金属・ミネラルや栄養素の過不足(アンバランス)が、心の病気の原因の一つであることがわかっています。 ヒトは精神を司る細胞を動かすために、神経伝達物質という物質が必要ですが、この神経伝達物質とはセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなど皆さまも一度は耳にされたことのある物質です。これらは栄養素の一つであるアミノ酸を原料に、ビタミンBやマグネシウム、銅、鉄などのミネラルなどを用いて変化させることで生じます。 原料をはじめとして途中の多くの成分がほんの少しでも過剰あるいは不足に陥れば、神経伝達物質も不足することとなり精神活動に不調をきたしてしまいます。 精神栄養療法とは、血液検査や尿検査から、栄養素の過不足を検査して調整する治療方法なのです。 もちろん、従来からの薬物療法や精神療法も同時に行うことも可能です。 精神栄養療法の特徴は、過不足を来している栄養素をゆるやかに補ったり取り除くということです。
対象となる疾患は、自閉症スペクトラム、行動障害、ADHD、統合失調症、うつ病、アルツハイマー病です。
脳に対して栄養素の過不足が長く続くと、脳そのものに重大な“障害”が及んでしまう場合があります。 従って、心の病気に対する精神栄養療法はできる限り早く治療を開始した方がよいと考えています。
精神栄養療法を行う場合、注意点が幾つかあります。
神経伝達物質の形成に必要な物質がどの様になっているかを調べる検査は必須です。 検査は血液検査と尿検査、場合によっては唾液で検査する場合があります。 治療の過程でも確認のための検査が必要となります。
多くの場合、サプリメントや食事指導が始まってから、その治療が効いているかどうかを見極めるためには少なくとも3か月間が必要です。 その間に、神経伝達物質の変動により症状が変化する場合があります。
最も大事なことは、治療の効果を判定するまでサプリメントや食事の改善を続けることです。
通院中の心療内科で処方された薬剤は、自己判断で中止しないで下さい。
米国では大きな成果を挙げている精神栄養療法ですが、本邦では保険適応とはなっていません。 従って、検査やサプリメントに係る費用は自費となります。